ぷっくり丸と一緒

ぷっくり丸と一緒~外科系女医の試行錯誤の日々~

仕事と家事と育児を欲張る形成外科医

低温やけどのこと

f:id:pukkurimaru:20201027002426p:plain

今週は健診がありました。引き続き安静ですが問題なし。健診に行っただけなのにとても疲れます。産んだら運動しないと。お昼寝したせいで簿記の講義が事前に決めたスケジュールから遅れてしまいました。FPはなじみやすいけれど簿記は手ごわいです。聞きなれない単語がたくさん。

 

先日は熱いものでのやけどのお話を書いたのですが、今回は暖かいものでのやけどです。暑い時期はほとんど患者さんはおらず、寒い時期に特有のやけどとも言えます。

やけどは熱いものだけでなく、暖かいものに長時間同じ場所が触れていることでも起こります。よくあるのが湯たんぽ。他にホッカイロを直接足に貼って起こす人もいました。話に聞いたことがあるのは、太ももの上にパソコンを置いて長時間作業した人が起こした例や暖かくなる便座に長時間座っていて起こした例(自分で動けない高齢者)です。本人は熱さや痛みを感じない場合が多いので注意が必要です。暖かいくらいの温度+長時間の接触+それに圧力が加わるとさらに深くなります。これを低温やけどといいます。

低温やけどの特徴は、とにかく深くまで焼けているということ。あとは、皆さん足が寒いので足にやけどをすることが多いことです。足は皮とすじばかりのところや骨が出っ張っているところが多いので、深いやけどになると容易に骨やすじの深さまで焼けてしまい、治療がとても長引きます。手術が必要になる場合も多いです。

普通のやけどと違って低温やけどのところは最初は触ってもあまり痛くありません。皮膚は白色になり、やけたというよりゆでられているような状態です。そのうち体自身がその死んでしまった皮膚を排除しようとして周りが赤くなったり、乾燥して焼けたところが黒く変色したりしてきます。治療はやけてしまったところを切除して、皮膚移植をします。範囲がごくわずかなら軟膏で治療します。骨や筋が出ている場合は薄い皮膚を移植するだけでは不十分なため脂肪を付けた組織をどこからか持ってくる必要があります。比較的若い人に多いので仕事を休めない人もいて、その場合はなんとか外来治療のみで治していきますが、1~2cmの傷でも数か月かかることがあります。とにかくやっかいなやけどです。

湯たんぽは、お布団に入る前にいれておいて、寝るときはは出すか十分体から離して使うのが正しい使い方です。

ところで私も湯たんぽは大好きで学生の時から愛用している巨大な金属製の湯たんぽを持っています。最近よくあるおしゃれなものではなくて、銀色で枕くらいあるものです。商店街の金物屋さんで買いました。湯たんぽって、大きな猫と一緒に寝ているような幸せな心地よさがありますよね。乾燥もしないし、足元だけ暖かいと、部屋全体を暖めるよりよく眠れる気がします。

私の使い方は、ティファールで沸かした熱湯と蛇口からでるお湯を半々でいれて、その触れないくらい熱いのをバスタオルでくるんで太ももの裏に置いたり、おなかの上に載せたりしています。そうですね、最悪な使い方です。もしこれで低温やけどを起こすと、範囲も広く大変なことになります。そのため、私が湯たんぽを使い始める時期になると旦那さん(同業者)はすごく嫌な顔をします。

自己責任といっても、さすがに子供が小さいうちにやけどするのは周りに迷惑なので最近は離して使うようにしています。もちろん子供には使いませんが、夜中お布団の上を縦横無尽に転がっているのを見ると湯たんぽ自体の意味がそもそもないようです。

プライバシーポリシー