ぷっくり丸と一緒

ぷっくり丸と一緒~外科系女医の試行錯誤の日々~

仕事と家事と育児を欲張る形成外科医

読書~リトル・フォレスト~

 

 何か食べながら、食べ物の本を読むのが好きです。家族ができてからは、お行儀が悪いのでほとんどできないのですが、それでも時々一人で食べるときは、料理本やグルメ本、小説、なんでもいいので食べ物に関する本を読みながら食べることが多いです。

最近特に食べ物関連の漫画が増えてきたように思います。いくつか読んだのですが、どれもおいしそうだし、まねして作ってみようかなとか、このお店の近くに行ったときは行ってみようかな、と思うのですが、読み返すことはほとんどなく内容を忘れ去ってしまうことが多いです。例外的に「昨日何食べた」は、漫画としてより実用的なレシピ本として作るものに詰まったときに読み返します。

リトル・フォレストは、私の父が数年前に癌の手術をすることになり、その待ち時間が暇だろうと思い母に渡したところ(母は海外ミステリ小説ばかり読む人でしたが)、珍しくとても面白かったと好評だった漫画です。

この本に出てくる食べ物は強烈に食欲を刺激します。頭にしみ込んで、読み終わった後も何度も食べたくなります。でも残念ながらどれも簡単にはできません。簡単にできないうえに、その時のシチュエーション(肉体労働後、厳しい寒さの中など)も重要になってくるので、主人公と同じ思いで口にするのはかなり難しい食べ物です。

食べ物には栄養素だけでは語れないエネルギーがあると思います。機械で作られたコンビニのパンはエネルギーが弱く、人の手や思いがのるとエネルギーは強くなってきて、その思いがポジティブであればあるほど、食べると心が安定する効果があるような気がします。私の母はとても元気な人なので、作った料理もなんだか元気そうなものになります。自分で作るときも、食べる人は気づくか気づかないかくらいでも、自分では如実にその日の自分の状態に影響されたメニューのエネルギーレベルがわかります。人の手や思いに加えて、材料としての質や新鮮さといったものもそのエネルギーに貢献していて、市場のぴかぴかの材料を使って、食べる人のことを考えながら作った出来立ての料理をおいしく食べていれば、かなりのメンタル面の問題は解決できるのではないかと思うくらいです。私は料理の本が好きなので、作り置きの本もたくさん持っているのですが、一週間の献立をほとんど作り置きでまかなうのはどうしてもできません。せいぜい2~3品作っておいて、あとはその日その場で作ります。作り置いておくと、やっぱり段々と食べ物のエネルギーが失われてきて、週の後半になるとなんとなく元気が出なくなる気がするからです。

私の旦那さんは食べ物にこだわりがあまりなく(好き嫌いは多いですが)、結婚前はもちろん自炊もせず、冷凍食品やコンビニのお弁当で満足して生きていた人なのですが、先日ぽろっと、もうコンビニのお弁当は食べられない、と言っていました。特にサラダなんかはコンビニのは野菜が死んでいる、と。こういう感覚をもつのは大事だと思います。エネルギーがないものばかり食べていると知らず知らずのうちに体も心も元気がなくなっていきます。でも毎日コンビニのものだけ食べているとそれに気が付かない。気づくようになっただけでも進歩だなとしめしめと思ったのでした。

長くなりましたが、リトルフォレストに出てくる食べ物はこの食べ物が持つエネルギーが最強レベルだと感じます。食べ物の存在感が半端ないです。この本に出てくるつきたてもちの納豆餅が食べた過ぎて、自分で切り餅と納豆で作ったことがあるのですが、これもおいしいけれど別物なんだろうなという感じでした。

ちなみに映像化もされていますが、断然漫画が好きです。

 

プライバシーポリシー