ぷっくり丸と一緒

ぷっくり丸と一緒~外科系女医の試行錯誤の日々~

仕事と家事と育児を欲張る形成外科医

読書~誰も知らない偉人伝~

今日は日曜日。帰省していた妹を駅に送った帰りに両親が家に来てくれたので、その間に買い物に行きました。旦那さんの単身赴任の話が出てからどうにも家事のモチベーションが下がってしまい、今週の献立も考えたくありません。今までは、旦那さんの健康は私が守る!という気概があったのが、なくなってきてしまいました。なんで私ばっかり家事に時間を奪われないといけないの?というのが根っこにあるのかな。お互いを思いやる気持ちは、あちらが下がればこちらも下がります。とりあえず目についた野菜とお肉を買いました。家に帰ってきてもしばらく両親がいてくれそうだったので、家族のためにではなく、明日以降の私が少しでも楽になるように、と思いながら作り置き。でも楽しくないなー、自分のためだけに料理するのは。娘が何でも食べてくれるならまだ作り甲斐があるけれど、作っても捨てることになることがほとんどで、積み上げたところで鬼に崩される石の塔を作っている気分です。そう思いつつ作ったのは、チャプチェ、さつまいもを煮たの、ささみカツ(これは冷凍しておく)。でも自己憐憫からは何も生まないから、なるべくはやく気持ちを切り替えなければいけません。旦那さんがやっとチャンスを手に入れたのだから応援しないといけないと思いつつも、これから先、自分の目の前に広がる前途多難さを考えると気が滅入ります。

 

 日本のことは好きです。安全で、まだ差別があるにしても頑張れば女性でも社会的地位が高い職に就くことができるところが。四季があるのも素敵だし歴史的な建物や着物や伝統工芸も素敵。でも日本人の精神性が好き、という感覚はあまりありません。日本にいるとかっこいい日本人よりカッコ悪い日本人の情報の方が耳に入りやすいし、日本とそれ以外の国の人の精神性を比べられるような海外経験がないからです。日本人であることに誇りを感じるか、と言われると、日本人でも何人でも別にいい、ただ自分自身であることに誇りを感じるような生き方をしたい、という答えになります。

この本に出てくる人たちは確かに素晴らしい。自分自身に誇りを持ち、利他的で、逆境の中にいてもかっこいい日本人です。でもそれを読んでも私が「日本」を好きになるわけではありませんでした。それゆえに、著者が個々人の素晴らしさを「日本の素晴らしさ」に持っていこうとしていることに違和感を感じました。登場人物は確かに多かれ少なかれ「日本」を背負って生きている人たちが多いのですが、それはそういう教育をされていたり、そうならざるを得ない時代だったからで、「日本」をさし引いてもその人たちは素晴らしいと思うのです。最後に特攻隊の手紙が載せられているのも、う~ん、という気持ちです。お国のために犠牲になることが尊いと教育されていた時代の手紙、今とは全く違う教育をされていた時代の青年が書いた手紙の中で、現在の私たちの心に響きそうなものを持ってきて感動を誘うのは違う気がします。たまたま生まれてきた「日本」に誇りを持つというのは、そういう教育をされない限り難しい気がするし、自分で努力して手に入れたものではないものに誇りを持つのは、なんだか親の権力を振りかざしているようで私には居心地が悪いあり方です。

 

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