ぷっくり丸と一緒

ぷっくり丸と一緒~外科系女医の試行錯誤の日々~

仕事と家事と育児を欲張る形成外科医

リンパ管静脈吻合のこと

手術室のスタッフさんから「娘さん、海苔が好きと聞いたので」とおいしい味海苔とふりかけをもらいました。最近娘は息子(3か月)に見せびらかしながら食べるのが流行っていて、食事中に息子を近くに連れてくるように要求し、「△△(息子)ちゃんはまだ食べられないから、これは○○(娘)ちゃんのだからね」といいながらふりかけの容器に手を突っ込んでふりかけの海苔部分を食べています。

旦那さんの単身赴任について、まだ先行き不透明ですが私もだいぶ腹が決まってきました。そのときそのときで考えながら応援しよう。

 

形成外科の手術に、リンパ管静脈吻合というものがあります。主に、癌の手術でリンパ節を取った患者さんが、術後足や腕のリンパの流れが悪くなり、腫れてしまうという病気です。リンパ管静脈吻合は、つまってしまったリンパ管を静脈につなぐことでリンパ液が血管の中を流れるようにする治療方法です。診断やリハビリなど、付随する色々があるのですが、手術手技としてはリンパ管と血管を見つけてつなぐだけです。問題はどちらも1mm以下であることが多いということです。

その練習をするためにこの2週間ほど血管吻合の練習をしています。2mmくらいならつなげるのですが1mmは難しい。練習用の人工血管がありますが質感が全く生体と違うので針の持ち方の練習くらいにしかなりません。

すると旦那さんが、手羽先がちょうどいいらしいよという情報をくれたので、病院の近くのスーパーで手羽先を買ってきました。診察室にある顕微鏡を使って血管を探したところ、L字になっている手羽先の、食べるところに1mmくらいの血管、持つところ(ここもかじるけど)に1mmより少し細い血管を見つけました。質感もちょうどよく練習には確かにとてもいい素材です。

ということで今診療の合間に一日1手羽を目標に練習しています。でもなかなか30分、1時間といったまとまった時間が取れません。最初のころは他の先生から「先生ー、手羽先の前に病棟回りましょー」と言われて戻るとカリカリに乾いていたり、冷凍保存していた手羽先を秘書さんに診察室に持ってきてーと頼むと、秘書さんが「すみません。解凍しようとしてチンしたら火が通ってしまいました。」といって茹で手羽をもってきたりしました。最近は慣れてきて、めくった皮をふたのように血管にかぶせ、乾かないように濡れたガーゼをかけ(患者さんに手羽先が見えないようにする意味もある)、診療にすぐ戻れるように器具をコンパクトに配置して隙間時間でもできるようにしています。

ただ一つ解決していない問題があって、1パックに7本くらい入っているのですが、一週間持ちません。冷凍すると、自然解凍しても血管が弱くなり練習しにくくなります。冷蔵庫では途中で生臭くなり、血管がふにゃふにゃになってしまいます。そこで今週は、タッパーに濃いめの塩水をつくってそこに沈めてみたのですが、なかなかいいけど水を毎日変えないとやっぱりちょっと生臭い。塩が足りないのかもしれません。もうひとつ考えているのは、哺乳瓶消毒用のミルトン的なやつにつけることですが、来週から試してみようかな。

プライバシーポリシー