ぷっくり丸と一緒

ぷっくり丸と一緒~外科系女医の試行錯誤の日々~

仕事と家事と育児を欲張る形成外科医

読書~短編小説編~

Youtubeで、アンパンマンなどの人形を手で持ってナレーションを入れながらおもちゃで遊ぶアニメキッズというチャンネルがあるのですが、娘はそれが大好きです。そこでバイキンマンはやはり悪者キャラ(でもみんなで一緒に遊んだりもする)だからか、家にあるバイキンマンの人形への扱いがひどい。アンパンマンにはパンもアイスクリーム(おもちゃ)もあげるのに、バイキンマンがくるとアイスクリームのスクープ(おもちゃ)で頭をたたいて遠くに投げます。2歳なのに、色々わかっている。

f:id:pukkurimaru:20200930123700j:plain

 

 

 

新しくネットで買った本たちは、もしもの時の入院セットにいれたまま車に積みっぱなしなので、本棚の本を読み返しています。どんどん増えるので、基本的には一回読むと処分するのですが(お風呂に持って入ったり、ごはん食べながら読むので汚れてしまって売れない。というか元々ほとんど古本で買っている)、読み返しそうな本はとっています。

本の好みも年とともに変わって、一番ストレスが多かった中学高校時代は(集団行動苦手、勉強ばかりで楽しみを見いだせなかった時代)そのはけ口としてなのかホラー小説ばかり読んでいました。ホラー小説、戦争の写真集、グロテスクなアートなど自分を追い詰めるようなものを積極的に選んでいました。友人づきあいがほとんどなくあいた時間はほぼ読書に当てていたので、ホラーの他にも今なら読まないような分厚い小説や哲学書のようなものも読んでいました(京極夏彦を今読む体力はない)。大学入学以降、徐々にその熱は治まり、結婚して子供ができるとさらにそういったものから離れ、基本的にハッピーエンドのものばかり選んで読むようになりました。

そんな中、昔の嗜好の名残なのか今も好きなそこはかとなくグロテスクな小説を書かれる小川洋子さんと恩田陸さん。昨日から読み返しているのがこの2冊です。

 

私の家では何も起こらない (角川文庫)

私の家では何も起こらない (角川文庫)

 

 まったく読書の趣味が違う旦那さんに勧めたら、読んだ感想は「めちゃくちゃ色々起こってるやん」でした。

恩田陸さんはもっとエンターテインメント性が強い、ドキドキするようなミステリも書かれていてそれも大好きなのですが、2回読み返すことはあまりありません(前に読んだのを忘れていて、読んでる途中でこれ読んだ!となるのはしょっちゅうあるけれど)。この本は小さなお話がいくつか書かれているのですが、どれも同じ場所で昔起こったことという共通点があります。ひとつひとつのお話自体は幸せな話ではないのですが、それぞれがすでに語られる時点で完結していて、生々しさや悲しさはあまり感じません。残酷な童話を聞いているような距離感です。一年に1~2回、少し内容を忘れたころに読み返すのですが、ちょっと怖い由来のある小物が詰まった秘密の箱を開けるようなわくわく感をいつも感じます。子供を持ってから、子供がひどい目に合うようなストーリーやニュースにはひどく敏感になって避けるようになりましたが、この本に出てくる子供の話(最初の方に出てくる)はなぜか大丈夫でむしろ好きなのです。

 

 

不時着する流星たち (角川文庫)

不時着する流星たち (角川文庫)

  • 作者:小川 洋子
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: ペーパーバック
 

 小川洋子さんの小説は、人が出てくるのに全体に流れる空気に動物のにおいがしません。滅多にありませんが、ベッドシーンがあっても艶めかしい静物画を見ているような気持になります。私の頭の中にある静謐という言葉には、小川洋子さんの小説のこと、という項目が含まれています。

この本はすこし趣向が変わっていて、それぞれの作品はある人物や出来事に捧げるために書かれたものです。

小説の中には書かれている言葉自体が芸術品のように美しい作品もありますが、小川洋子さんの小説は言葉一つ一つではなく全体の雰囲気が、静かな存在感と魅力を持っています。それはなぜか私の中で小さな教会のイメージと重なります。小さなマリア像を手に取るような気持ちで、時々本棚から取り出して読むのです。小川洋子さんは長編も書かれますが、私は短編が好きです。

 

さてと、午後は何をしようかな。明日は検診だ。

プライバシーポリシー