美容業界の広告。
車でも食品でも洋服でもなんでもそうだと思うのですが、なぜこの製品がいいのか、何が他より優れているのか、それを消費者にアピールすることが必要です。
今までは一人の消費者として、その広告を見る側だったのですが、美容外科では自分で自分のコマーシャルをしなければいけません。そうすると、他の業界の広告も見方が変わってきました。
例えば食品ですが、パッケージの写真はイメージです、実際の商品とは異なる場合がありますって書いてありますよね。今までそれにあまり違和感はありませんでした。そうだよねー、と言う感じ。
飲むとおなか良くて体にいい!をコンセプトにしている食べ物なんかも、深く考えずに手に取っていました。
服だって、実際にいそうなモデルではなく、現実にはいないようなスタイルのモデルさんに着せて見せますよね。当然です。
ただ、いざ、自分が広告をしないといけない世界に入ってみると、広告自体にすごく違和感を抱くようになってきました。広告、っていう単語に対する概念が変わったというか。
いや、写真と違っていたらダメでしょ、とか、おなかにいいかもしれないけど物凄い糖が入ってますけど、とか、いやいや、この人が着たらなんでもかっこいいわ!とか。
興味を引くように計算しつくされた広告。出されている情報は、ほんの一部。嘘ではない、でも等身大でもない。
広告にうかうかとのせられないために、私たちは賢くある必要がある。40を目前に、こんな基本的なことがやっと腹落ちしました。
美容業界も他の業界とおんなじです。
まず症例写真。術前術後は同条件、すっぴんが基本かと思いきや、そんなふうに撮って載せているところはどこにもない。術前はすっぴん、術後はばっちりお化粧が標準です。
なぜなら、ぱっと見綺麗になっていることが一番重要だから。
でもこれはいいんです。嘘ではないから。
でも、確実に加工しているだろうと思われる写真(言葉を濁す)もあります。少ないですが。
お化粧でごまかしているだけで術前と全然変わっていない写真や、加工している写真、また、なぜこれを載せた?という仕上がりの写真をみつけると、とりあえず旦那に送る。そして二人で怖い怖いと言い合っています。
そんな中、悪徳クリニックを批判しまくっている先生というのもいらっしゃいます。
啓蒙という点で正しいですし、全然悪いことではありません。
でもそれも正義の味方ブランディングではないと言い切れるかと言われると、、、(言葉を濁す)。
ということでそれも気持ち悪いので我々はそちら側にもなれず。二人でこそこそ言い合うだけ。
医療は人の体にメスをいれるのだから誠実であるべき、はもちろん正しい。
でも食品なんて、人の体の中に入るものだけど、体に悪いもの、たくさん売られています。加工食品なんて、誠実になったら、広告できません。
医療が誠実であるべき、は誠実側にいようと決めた医者のコマーシャルでしかないように感じてしまうこのごろです。
もちろん、自分自身そうあろうとは思いますが、声高に言うのではなく、ひっそり、思うことにします。
この世界、疲れる。